マシュマロと自制心の育ちのヒントから


マシュマロテストという有名な実験があります。(詳しくはマシュマロ・テスト:成功する子・しない子。2015年 早川書房出版) のべ600人の方の幼稚園時代にウォルター・ミシェル氏が1960年代から50年かけてその実験の追跡調査を行った大規模縦断調査研究です。その方法ですが、ミシェル氏が4歳の子どもたちを何もない部屋に招いて、目の前においしそうなマシュマロを1つ置いた上で、じっと待機するように命じました。そのときに、「このマシュマロをあげるね。でも、もしも私が戻ってくるまでの15分間、食べるのを我慢できたら、帰ってきたときにマシュマロをもう1つあげます。食べてしまった場合は2つ目はないよ」と告げて、部屋を出るというものです。

目の前のマシュマロを食べたいけれど、「我慢してもう1つマシュマロをもらいたい!」「でも、今すぐ食べたい……」と子ども達はもん絶しつつ拮抗しますが、結果的には最後まで我慢してマシュマロに手を付けなかった子どもは約3分の1ほどだったそうです。その後、ミシェル博士は我慢できなかった子どもたちと、我慢してもう1つマシュマロをゲットした子どもたちの2つの対照群を追跡調査したところ、我慢できた子どものグループの方が、その後、学校で「優秀」と評価される人が相対的に多く、大学進学適正試験(SAT)の平均で210点も高いことが分かりました。さらに、2011年以降の調査の継続確認でも、この我慢強さ、すなわち自制心の強さは生涯にわたって関係し、将来の社会的成功に大きくつながることが判明しました。

このような話の時によく「生まれたときから自制心は持って生まれたものだから変わらないのじゃないの?」という理屈もあります。もちろん持って生まれた資質もあるでしょう。しかし、それだけではないようです。なぜなら自制心は「育てることができる」からで、実験の子どもも例えば、子どもなりにマシュマロが視界に入らないように、手で目を覆うようにする子。マシュマロから目が離せなくても、好きな歌を歌って没頭して意識を離す子ども。中には、食べたい気持ちをなんとか抑えようと、マシュマロを舐めて我慢した子どももいたそうですが、いずれも自分なりの方法を見つけだし乗り切ったことでさらに自信を継続させる力が作れたからだそうです。(ここが重要なことだそうです。)

ウォルターミッシェル氏の提案を記述すると1つ目に、大人と子ども、ともにストレスレベルを低くしておく。2つ目に「自分の行動次第で、良い結果にも悪い結果にもなる」ということを学ばせる。3つ目に、子どもを支配しない(親の欲求ではなく子どもの欲求に耳を傾ける)ことでこれらの自制心は育つのだそうです。

また、人間には欲望を活性化させ、その場の衝動に従いたくなる“ホットシステム”というものがあり、その対局には、気持ちを落ち着かせ、冷静に判断する“クールシステム”が存在するため、時に応じて使い分けることが大事であることを説いています。ホットシステムもいつもいつも「悪者」というだけではなく緊急の時、身を守ったりするときには欠かせないのだそうです。ただし、正しい判断などの際はクールシステムが重要になるそうです。このクールシステムこそが自制心を強くするのだそうです。

さて、この大集団の「保育園の子ども社会」のなかでも子ども達が我慢をして成長する場面があります。必要以上の我慢をする必要はありませんが、ときには思い通りにいかない、壁がたくさんある、それらがすべて教材、学びの機会になることでしょう。園でも子どもの持つ良質な部分を伸ばしていけるようによく、子ども一人一人のパーソナリティを観察し、適切な手を差し伸べられるようにしていくことが目標です。













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