絵本について

園で行っている行事に「育児と保育を考える日」というものがあり、今回は子育て講座を致しまして、網野武博(東京家政大学教授)先生にご登壇いただきました。先生からはたくさんのお話がありましたが、その中の一つ、歌人 俵 万智氏の幼少期の例を語って下さり心に残りましたのでご紹介します。

「子どもを父母の皆様のひざに座らせてあげながら、絵本を読んであげることがいかに心の栄養になるかは一度はどこかで聞かれたことがあると思いますが、俵さんのエピソードはそれを裏打ちするものです。俵さんは幼小時代にいかに母親から「三びきのやぎのがらがらどん」を繰り返し、繰り返し読んでもらい、一語一句たがわずある意味で言葉を「食べていた」かなのですが、じつはこの幼少期があるからこそ、今の姿がある」とのことでした。


さて、「与謝野晶子以来の天才歌人」とも言われる氏の秘密は、奥深い内容の絵本が多い福音館 松井 直元社長によると母親の 俵 智子氏のあくなきマター二シティ(網野氏造語:心豊かな親子の相互作用のある触れ合い)を伴った、絵本の「読みかたり」の結果であると、そして「読みかたり」とは何百回と読んだ絵本であっても大人も新鮮な気持ちを持ち、感情を新たにし一緒に物語に入って全くはじめて読むように何回でも「共感する」ということです。そんな意味を伴う「読み聞かせ」ではない「読みかたり」の重要さを強調されておられました。
そんな時の「子どもの心」はどのようになっているのでしょう。きっとストーリーの面白さもあるのでしょうが、一緒に感じられるスリルや感動を再体験、追体験したいという気持ちがあるのではないでしょうか。そして「おかあさんの声が感じられる、おとうさんがそばにいてくれる、おばあちゃんが自分のために読んでくれる」という寄り添いやスキンシップが内容よりも、もしかしたら子どもの心に響くのでしょう。とくに生まれる前からお腹の中で聞いていたお母さんの“声”はきっと特別な意味を持っているに違いありません。

そして、そのような“体温まで感じられる”スキンシップを伴った、絵本の「読みかたり」体験は、直接的には絵本の中で繰り広げられるストーリーを通して、子どもの想像力が育ち、想像力はその先に起こることを予測したりイメージを生み、さらには先を読む力にもつながる大切な「心の筋肉」になります。もちろん、子どもが「読みたい」という思いがあることが、最もお話を吸収することなのではないかと思いますが、受容されて安心感を得ながら子どもが身体にも心にも染みわたるような絵本の体験を保育園の中でも保育者を通じたくさんできるように、そんな場をたくさん持ちたいと考えています。たった一つ、子ども達と一緒に行う行為でさえ心を込めて、愛情を込めて、いつくしみを込めて行えばマターナルデプリベーション(ボウルビー:母性はく奪、施設病)のような子どもへの弊害をなくしていけるのではと網野先生のお話を聞きながら感じました。

また子どもが新しい習慣を学ぶときや、気づきにつながる出来事があった時、いかに「絵本」の力が大きいのか感じることがあります。本当に10回言って聞かせるより、内容の良い絵本をたった一回読んであげるだけで心に届くことがたくさんあります。新鮮な心で子どもの「また、読んで!」につきあうのは最初はちょっと大変ですが、子どもにとっては確実に心の栄養になるのならば、私も読んであげられる大人の一人でいつもありたいと思います。



最後までお読みいただきありがとうございました。



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